百姓の詩

小麦 と 家族

46e5cd21.今日の写真 小麦が発芽してきた きれいにこうして列になって這え揃う 今はまだ小さいが 来年春には大きく背伸びをするだろう

午前中 ダンボール業者さんを出荷場である 古民家に来てもらう 成田市のダンボールを作っている会社 出荷に使うダンボール箱を作ってもらうべく 交渉する 問題は価格 このところの原油価格高騰のあおりで ダンボールはどこも値上げ こちらとしては 1円でも安いほうがありがたいけど そうはいっても 向こうの営業の人がいやになるような話はしたくない お互い いいところで付き合いたい 自分の場合 これから20年はやるつもりなので 長い目で付き合って欲しいとお願いする なんとか いい見積もりを期待する

 夜 家に帰ってきて メールをチェックしたり 不在着信にお返事したりしていると 携帯が鳴る 実家から 遅い時間の実家からの電話は いつも心臓がどきどきする 僕の両親はもう高齢だ 以前会ったのは 農園移転の際だから 約2年前 電話の内容はだいたい 僕を心配すると同時に 実家で何か騒動が持ち上がったときだ 僕の家族は一般的な意味でいうと 少し事情があって 物心ついたころから 父とはコミュニケーションが取るのは難しい状況だった 母が父と母の両方をやりながら僕を育てた 20歳で家を出て以来 僕は育った家が失われたこともあり あまり実家には 寄り付かなくなった 家族 という響きは 僕にとって多くは 苦しみと悲しみ が入り混じったものだ 

こうして 遠く離れてお互いを生きることで 僕が何か具体的にできることはほとんどなく その事実が さらに僕を追い込んでいく 子供が両親を自ら選んで生まれてくる ということを知って以来 どれだけの時間をかけて その意味を探っただろう いつも電話の最後の切り際に 叫ぶような母の泣き声 電話を切ってしばらくは 何も手がつかない

今日の写真の小麦 寒い寒い冬の間 何度でも踏まれて踏まれて それによりしっかりと成長する 僕も何度も 何度でも 自分の受け継いだ運命に 立ち向かうことができるように この小麦のたくましさを 自分に焼き付けたい

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