コラム・百姓から見た世のつれづれ

冬瓜初出荷 わずか3畝の畑から見えてくるもの

8月21冬瓜初出荷
今日の写真 先日のお野菜セットから 冬瓜(とうがん)が 初出荷・・・例年ならば もう少し秋口に出荷したいのだけども 今年はなんせ 品目が足りず・・しかも 冬瓜(とうがん) 翌年 越冬させて 2月ぐらいまで保存も良く持つので 重宝していたのだけども 今年は全然数が足らず・・・(とうがんできないってどういうこと?) 頭が痛い を 通り越して 頭撃ちたい・・・

 僕が借りている畑は全部で 23枚・・・来年またちょっと増えるわけだけども・・平均して 一枚 2~3反 一番大きい畑で 一枚8反ばかり・・・なので まあ 2反以下の畑は正直 狭くて借りたくないのですね(畑の形も大事ですけどね 細長かったり 画数多かったりするとトラクターかけるのが面倒だし・・) それで あわせて1ヘクタールある隣で繋がっている畑の 農道を挟んで向かい側に わずか 3畝(1反の3分の1 0・3アール)ぐらいの狭い畑があります そして その畑の奥は深い深い 竹林なんですな 今日 その狭い畑の脇を もう90歳になろうかというおじいちゃんが 草刈をしていました 背負いの機械が重いのでしょうね・・・とても大変そうでした 僕は農道なので 後ろからそのおじいちゃんに軽トラで近づいたのだけども おじいちゃんは気づかない・・・ま 僕は基本常に時間なくて 急いでいるのだけども そのおじいちゃんが気づくのを待つことに・・・時間にして3分ぐらいでしょうか・・・ようやく 振り向いて気づいたおじいちゃんは 顔を真っ赤にして(今日は暑かったからね) すまなそうに挨拶していただいた 僕はにっこりと笑顔で (ご苦労様です)と 頭を下げる・・・・
 
 おじいちゃんが 草を刈っていた3畝の畑は当然 何も作っていない 僕が成田に来て以来ずっとそうだし もう 10年以上何もしていない でも こうして 畑の中は 小さいトラクターをかけて 草が生えないようにしているし 脇も草を刈る この90歳になろうかというおじいちゃんが 管理をしているのですね 僕にはとてもありがたいことなのですね なぜなら もし おじいちゃんがやってくれなければ すぐに竹林がその畑を覆って 農道をはさんで 僕の1ヘクタールの畑に侵入してくるのは間違いないからです すでに そのようにして 僕が借りまくっている畑の周辺では 誰もやらなくなった畑が年々 竹に食いつぶされていきます それは 僕にとっては凄く困ることなのですね・・・思うのです いつかもしかしたらば 10年ないうちに おじいちゃんに何かあるかもしれない その時は・・・当然 誰もやらないでしょう そのおじいちゃんに跡継ぎはいるでしょうが おそらく会社勤めでどこに 家の畑があるのかすら 知らないかもしれません・・・これが 今の農業の現実です 

 いつも 思うのですが 日本の農業の問題 というのは マスコミや新聞などで TPPやら 自給率などの国全体の話ばかりなわけですが 当事者である 我々農家には 関係ないことがほとんどだし そんなことよりも 目の前の食べていけるかどうかの瀬戸際の話が現実にはあるわけです すでに この国の農地は 群馬県ぐらいの農地が耕作放棄地となったわけですが それは 集めたデータの話ではなくて 僕の毎日通っている 畑のそのすぐ脇で現実に起きている問題なのです そして 当然 僕の畑の周囲のことなど この成田の田舎の人ですらが すでに 無関心なのです だから 決して解決など するはずもないのです そして その流れは永遠に変えられません 日本の経済は今後よくなったり 悪くなったりするのかもしれません しかして 農業に限って言えば 決してよくなることはありません 衰退の一途 そして いつの日か 死に絶えるのです(僕らのような農家や 資本のある法人ぐらいでしょうか生き残るのは・・・) 今更 何を議論すべきなんでしょう? そして 壇上やテレビの向こう側にいる スーツを着ている人は決して自分では畑はやりません そして 僕のような農家には 一円もお金は回ってきません・・・・(今日は暑かったので 今更言ってどうしようもない話でした)

 でも 僕はそのおじいちゃんが 好きなのです・・・それは 長年農家というものを 背負ってきた その姿勢 笑顔の裏にある 苦しみ・・・それらをすべて 体現なさっているからなのです だから 僕は重い草刈機械を背負って この暑さの中 草を刈っているのを どけとは言えんのですわ・・・・

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