百姓の詩

研修希望 パン屋さん 農家の演説その1(百姓の戯言)

10月22研修希望Hさん

今日の写真 昨夜は大雨で畑はしっかりと濡れた 植え付けたばかりの たーさい君たちにはよかったと思う
計算通りだ 今日は午後から来訪者が・・・埼玉から研修希望の女性の方 

 お話をうかがいながら じゃがいものわずかばかり残っているもの芽かき作業をやろうと思ったけど ほとんどが壊滅状態・・・保管庫にあるものはほぼすべてだめ これで 今年のじゃがいもは終わったことが判明 今年ほどじゃがいもがだめだった年はない 実質 2か月程度しか出荷できず すべて廃棄・・・涙も枯れた

 今日来た方は いろいろな農業の現場を歩いている 将来は農的な暮らしを模索したいということで いろんな農家さんを訪問されたようだ 僕自身 実際の農業研修にたどり着くまでに 2年あまりの時間を費やしているので 状況は手に取るようにわかる 非農家の出身で 農業をやろうと思ったら 実質的にこの国では 自分ですべて探すしか方法がない 何の手立ても方策もないのが現状だから 実際の現場を見て 自分で判断するしかないわけですね で 僕が聞きたいのは  (農家というプロになりたいのか? それとも田舎暮らし的自給がしたいのか?どちらを目指すのか?) ということだ 農家のプロになる それは 当然簡単でなくて 至難の業 プロ野球選手やサッカー選手になるのと同じだ 激烈な競争を勝ち抜いて 初めて掴み取れる世界だ 田舎暮らし的自給というのは いわゆる 田舎では別荘暮らしのこと 農産物を作って販売せずとも生活できるということを意味する 僕から見れば VIPな生活であり 僕がこれに関して アドバイスできることはほとんどない もし 畑借りたら草だらけにしないで地主さんに追い出されないでね ぐらいだ

 そして だいたい将来農業をやりたい という人のほとんどが 先の二つを混同して考えている人が多い なので そこから明確に分けて考えることから すべてはスタートする ただ どちらにしろ プロの農家になれる人は実際はそういないわけで ほとんどが志半ばで挫折していくわけです 当然 僕はけっしてその道は勧めない
 何を好き好んで 儲かりもせず つらい体験をこれからやろうとするのか? 何かしらそこには 特別な個人的な背景がない限り 僕は決して背中を押すことはない・・・てことで 3・11もあって 10年以上この業界にいる僕ですら 来年がどうなるのか? という状況なわけで 是非 頑張ってくださいとしか言いようがない

 研修希望の方を成田駅まで送って上げて 帰りに 駅近くの研修時代の後輩がやっているパン屋さんに寄る ここのパンが激うまなので 何かしら要件があって街に行く時には寄ることにしている お店につくと 閉店の張り紙が・・・へ? 店に入ると 一個もパンがない 詳細を聞くと 酵母が安定しなくて パンの出来が悪くて 今日はほどんが販売できなかったとのこと・・・・そうか・・・僕と同じなんだな いろんなものにこだわってこだわって作れば作るほど こうした失敗は必ず出る これはもの作りの宿命なんだなと思う 試しに一つ食べてみるとたしかに少し 酸っぱいがうまいし食べれる なので 店主に提案してみる これ 半値とか値引いて売るってどう? (そうですね・・・)と のこと そう 同じ生産者としては 半端なものは売りたくないということはよくわかる だけど 天然酵母など こだわってやっているということは こうしたことも起こりうるし その場合も含めて お客さんに納得して買ってもらう というのを オープンにして売るというのもありなんじゃない? と伝えてみた (ああ なるほど・・・・そうかそうか)ということで 検討課題になったようだ 
 
 生産者は より安全とか より美味しいというところにチャレンジしていく以上 それが食べたい 欲しいということであれば それを支えるのが 消費者であり 実は一体だ だとすれば 生産者だけが そうしたリスクを負うということ自体 おかしい というのが僕の考えだ 農業のように 最初から儲からないというのが前提であるならば 当然 どこかに保険が効いてなければ その生産者は 何かしら 布教活動のようになっていく 
 今後 東日本で農産物を作る農家 すべてに言えることだと思うけども どうやって自分を守るのか? 自衛手段を講じるべきだと思う 放射能の数値をどれだけ正確に測っても イメージだけでしか判断しない消費者には意味がない(実際に数値がゼロでも売値がつかないなんてざらにある話)・・・ であるならば 僕ら生産者が 消費者を選ばなければならない 支えてくれる方のために作り 買っていただけるお客様のために 命を張る ということだ 
 僕は 自分が今 畑で実際にやっていることに意味を見出さない消費者を今後 相手にするつもりはない 
最初から 不特定多数の人を相手にはしていないわけで 自分の命を預けられるひとりひとりの消費者としっかりと 繋がることがすべてだと思ってやっている こうした 今までの農業とはある意味 逆行するような考えかもしれないけども 農業者は 今後 立ちあがって 今自分たちの置かれている現状を さらけ出して 赤裸々に訴えても全然かまわないと思う 今は 生産者は立ちあがるべきだし 消費者は きちんと聞くべきだと思う はい 以上 演説終わり・・・・(どん引きなのは経験上知っている) 

1 thought on “研修希望 パン屋さん 農家の演説その1(百姓の戯言)

  1. こんにちは。

    いつも興味深く読ませていただいております。

    ところで中沢新一氏はオウムだと聞いていますが、大丈夫なのでしょうか。

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