コラム・百姓から見た世のつれづれ

ゴールデンウイークに見られる田植えの光景と 失われ行くもの・・・

4月28古民家と田んぼ
今日の写真 さて ゴールデンウイークに入ったということで 僕が借りている古民家の周囲はすべて田んぼばかり・・・植えられたばかりの稲の苗たちから 古民家を臨んでみました・・・
 さて この時期に田んぼでよく見える光景・・・60代・70代の現役世代のおじいちゃん農家さんが 白い肌をむき出しにした日頃は農作業など手伝わない息子(といっても僕とほぼ同世代の方)さんと一緒に 田植えをしている様子だ その現役おじいちゃんが 一生懸命 田植えのやり方(ま田植え機の操作の仕方が主だけども)を教えているんですな そして たぶん世間的に見ても そこそこの年齢で会社に行けば役職が付いているその息子さんの 苦虫を噛み潰したような表情がなんとも・・・・(どうして毎年この休みの時期になると俺が田植えせねばいけなんだろうか?米は買ったほうが安いというのに・・・・)

 至極 まっとうなご意見です その息子さんの嘆きは・・・・今や この国で お米を作り続けることの意味合いと言うのはほとんどないと言っていい 採算も取れない 買ったほうが安い 労働に見合うわけもない・・・もしあるとするならば 先祖代々受け継いできた自分の田んぼを自分でやって 米を作るんだ! という 農家としての矜持しかない そしてそれは 極めてどこにもたどり着くことのない 農家の思い それのみなんですな・・・TPP交渉をやっているけども TPPがどうなろうが 外国から安い農産物が入ってくるのは時間の問題 まずは 畜産がやられてそして 米・・・日本の外食産業をはじめ びっくりするぐらい安いお米が入ってきて喜ぶのは 何も業者だけじゃないでしょう なしくずしに農産物の価格が崩壊するのは 自明のことでしょう・・・・
 
 僕の借りている古民家の地区には40件以上の農家さんがいる地区だけども 跡継ぎはゼロ・・・この写真にある古民家の前に広がる田園地帯は 数年単位で耕作放棄地が広がるということです(実際 僕が借りている古民家の大家さんは農業は継いでないしね)
 そして 何が問題って・・・たぶん その根っこにあるのは 食料としての米の問題ではなくて この国で米つくりをやめたとして何が失われるのか?というところだ 天皇家の行事の中に お米に関する行事もあるぐらい この国の根幹の文化にお米というのは深く関わっている 神社・仏閣 はては某任侠の世界においても 節目の時にはお米がその役割を果たしてきたのは周知の事実・・・お米は 日本人の心 小麦ではない パスタやパンではなくて 豊富な水で作る水稲というものが この国の連綿と続く歴史を作ってきたのだ そして 講演会などでも必ず言うことだけども この国を動かしている中枢は 100年後の日本の将来の形など 1ミリも考えていない エネルギー問題をはじめ この農業という食糧という命に関わる分野においても 戦後一貫して いろんなものを放棄して踏みにじってきた・・・・ 年を取り 腰が曲がって最後の時まで お米を作り続けたい という 老人百姓としてのプライドをこけにしてきたつけは 必ず 後世の世代が払うのは間違いない そう いつかはばちがあたるのですよ 必ずね・・・

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