さて　３月ももうすぐ終わる　４月に入れば成田に来て５年目の春に突入というわけだ　早いものだ　本当に早い・・・農園を移転して５年　新規就農というものを　２回も体験するとは思わなかった　正直　つらいこともあった　だけど　お客様に支えられてここまで来た
　予定通りいっている部分もあれば　そうでないこともある　だけど　着実に前に進んでいる・・・はずだった　そう　３月１１までは・・・

まあ　有機農業で飯を食う　ということにチャレンジすると決めてから　そうそう簡単なことではないとわかった上でやってきて　当然のようにずたぼろになりながらもなんとかなって　畑がなくなる　ということもこうして　乗り越えてきたと思った矢先にこの事態・・
まあ　これだけの命が失われてしまったわけで　命があるだけよかったとせねばいけないところだろう　ただ　やはり　この目に見えない敵　には参ったな・・・あらゆる偏見や差別　そして　虫や病気にも負けずにやってきたけど　まさか　放射能とはね・・・いやはや何をかいわんや・・・

　ただ　問題はこの事態を　被害者とみるかどうか？だ　一見　僕らは一方的には被害者かもしれない　だけど　冷静に見れば　そうではないのでは？と思う　引き金は天災だろう　しかし　その後起きている事態は　人災の様相だ　某電力会社の対応や政府など　この有事の際に　うまく対応できていないことは明白　だけど　だけどだ・・・これは一朝一夕に出来上がったものではない　戦後　長い時間をかけて　ゆっくりと内部から腐り始めて　ここにたどり着いたのだろう　今すぐ　どうにかして　手を打ってなんとかなるようなものではないと思う　電力一つとっても　僕らはその潤沢な恩恵を受けて来たはずだ　いったい誰が電力なんかいらないといって　自給してきたと言える？　子供たちの明日を巻き込む形で　こうした事態を招いた責任は　今の日本人そのものにあるだろう　ゆえに　僕は加害者かもしれない　だから　この事態は　自ら招いた種とすれば　たしかにあまりに哀しくて　頭に来るけど　もうしょうがない　今　起きている深刻な　風評被害は　今の日本の風潮ならば　起きて当然だと思う　農産物なんて　いくらでも代わりがある　２４時間　パソコンからクリック一発で　翌日欲しいものが届くのが当たり前の環境にある　消費者の消費行動を見れば　容易に想像はつくだろう・・・・

　起きている事態の　鍵は何か？　それは　命　だ　命の次元からものを見ることだ　オーガニックはこの日本では　ファッションだった　でも　もう関係ない（農薬がどうとか農法がどうとかもうどうでもいい）　これだけ一次産業である　東北の漁業と　東北の米どころの田んぼと今回の関東での農産物の被害　とを合わせると　この２週間で　多くの人命と共に　どれほどのものを僕らは失っただろうか？
　もう　この国は３・１１以前には　戻らない　今現在起きている事態に合わせて　社会や仕組みをもう一度　構築することだ　その中心に　「命の次元」がなくてはならない　
ＧＮＰのパーセンテージを挙げることしか考えてこなかった多くの大人たちには　もう一度　一人の人間として　足元からものを見なくてはならないだろう　
今回の事態は　あまりにも悲劇的であると同時に　僕らに強烈なメッセージを発している
（変わりなさい　さもなければ　一歩も前には進みませんよ）とでも言っているかのようだ・・・

希望はある　僕には感じる　それは　今回のことで多くの人の心の中に　善意の塊みたいなものが　ぐぐっと力を持ち始めたことだ　小さい子供を持つお母さん方の中に　被害に遭われた方を思わずなりふり構わず助けた　高校生の中に　命を賭けて　今この瞬間に原発を止めるべく戦っている方の中に　多くの人の意識が変化しているように感じるのは　僕だけではないはずだ　すべては　個人の心の意識の変化から始まる　それは歴史が証明していることでもある　たしかに　今は大変な時だけど　必ず乗り越えられると思う（だってそれを信じていく以外に何かいい方法があるかい？）

　今日の写真　ほら　種を播けばちゃんと芽は出てくるのですよ　かぼちゃ　夏になればたくさん実をつける　僕らもこれに学びましょう